
染付(そめつけ)は、別名“呉須”とも呼び、酸化コバルトを主成分とする顔料です。焼成することで青く発色するのが特徴で、中国では“青花”と呼ばれ、宋末が起源とされています。
昭和16年、上出長右衛門窯は問屋から窯元へと転業し、本窯を導入しました。それ以来、素地の色合いと共に研究を重ね、現在の鮮やかな青色をつくりだしました。
古来より、青という色は海や空といった人間の手の届かない存在を象徴し、私たちに憧れを抱かせてきました。自然物にはあまり見られない色であるがゆえ、他のどの色味とも重なることなく、食材を引き立てる力を持っています。染付は、代々割烹食器をつくってきた長右衛門窯にとって、なくてはならない色といえるでしょう。
長右衛門窯の製品の殆どは、この染付を基調に絵付のデザインを設計しています。濃度や釉薬の厚みなど、様々な条件で発色が左右されるため、窯を開けるまで色の出方が分からない難しい技法でもあります。焼成後、絵付師たちが窯の前に集まり、絵付した製品を見定める光景は、今も昔も変わることはありません。
本展では、笛吹のルーツとなった明時代の古染付や、開窯時の花瓶といった貴重な古作から、小川洋子さんの著書「遠慮深いうたた寝」の挿画原画、今年、バーレーンの国立博物館で展示された笛吹の陶板画などを展示いたします。長右衛門窯が育んできた「青」に是非触れてみてください。
関連トークイベント【入場無料・事前予約なし】
① 5月3日(土・祝)11:00〜
場所 1階本窯前
上出長右衛門窯六代目・上出惠悟 (スペシャルゲスト:名久井直子)
ブックデザイナー・名久井直子さんをスペシャルゲストにお迎えし、トークイベントを開催します。名久井さんが装丁を手がけた、小説家・小川洋子さんのエッセイ集「遠慮深いうたた寝」では、長右衛門窯が装画として陶板画を制作(デザイン:上出瓷藝)し、磁器のような質感が書店で話題となりました。当日は、名久井さんのお仕事やアイデアについて、お話をうかがいます。
② 5月4日(日・祝)11:00〜
場所 1階本窯前
上出長右衛門窯六代目・上出惠悟
Instagram Live 配信予定!
六代目・上出惠悟による、本プログラムの解説や窯まつりのエピソードを中心としたトークイベントを行います。